平家物語 - 語り物の伝統



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平家物語は琵琶法師によって語られた「語り物」として時代を通じて伝承されてきたため、文学としての平家物語には多数の異本が残っている。「徒然草」(吉田兼好筆、ca.1330年)の中に、もと宮廷楽府の雅楽演奏家であった信濃前司行長が出家して比叡山に入り平家物語を創り、それを生仏という盲僧が琵琶の伴奏と共に語り民衆に広めた、とある。この歴史は、平曲のスタイルが仏教の声明、雅楽、盲僧琵琶の影響を起源としていることを示している。

平家物語が扱われた時期は12世紀の約60年間で、平家一族の勃興、極盛、そしてまたたく間の滅亡(1185年/壇の浦の合戦)の歴史を描いている。その語り口は説話的で、各場面の具体的な描写に力が入れられ、登場人物の人間描写は強烈で印象が強い。語り物であるため文字を読めない者にも鑑賞され、貴族から庶民に至るまで広く流布した。その物語は常に仏教思想の無常観と因果律を根底としている。

後に
平家物語は他のスタイルの琵琶のレパートリーとしても広く語られるようになった。薩摩琵琶の腹板をはたく様な男性的な奏法やサワリの効果の繊細でものがなしい感じのする音色は、ドラマティックな平家の歴史物語に一層の深みと味わいを与えている。