平家物語が扱われた時期は12世紀の約60年間で、平家一族の勃興、極盛、そしてまたたく間の滅亡(1185年/壇の浦の合戦)の歴史を描いている。その語り口は説話的で、各場面の具体的な描写に力が入れられ、登場人物の人間描写は強烈で印象が強い。語り物であるため文字を読めない者にも鑑賞され、貴族から庶民に至るまで広く流布した。その物語は常に仏教思想の無常観と因果律を根底としている。
後に平家物語は他のスタイルの琵琶のレパートリーとしても広く語られるようになった。薩摩琵琶の腹板をはたく様な男性的な奏法やサワリの効果の繊細でものがなしい感じのする音色は、ドラマティックな平家の歴史物語に一層の深みと味わいを与えている。

